中途入社した職場へ馴染むためにするべきこと

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前回の記事では、中途入社者を受け入れる際に、既存社員が意識すべきポイントをご紹介いたしました。今回は、中途入社者本人の目線となり、転職後に感じることなどについて触れていきます。
Dirbatoでは、毎月20~30名前後の中途社員が入社しておりますが、新しい環境に馴染むのに時間がかかり、不安な気持ちを抱えている社員もいるかもしれません。転職経験者はどのようなことに不安を感じているのか、職場に馴染むためにどのような行動をするとよいのかを見ていきます。

目次

  1. 1.転職後に不安を感じること
  2. 2.中途入社者が馴染むためにしていること
  3. 3.管理職としてぶつかることと、活躍のポイント
  4. 4.まとめ

1.転職後に不安を感じること

PERSOL社が転職経験者向けに行った調査では、転職後、不安に感じることの質問に対して、下記のような回答を得られました。

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図1 転職後、不安に感じていたことはなんですか?

人間関係や社風に関しては、実際に入社してみないと分からないことなので、特に不安を感じる人も多いかと思います。転職してすぐは、職場に馴染めていない状況で、一から信頼関係を構築していくため、どう行動すべきか分からないという人もいるのではないでしょうか。
そして、中途入社者の場合、新卒入社者とは期待値が変わります。新卒入社者は即戦力として期待されることは少ないため、一人で業務ができるよう、先輩が業務を一からサポートすることが一般的です。しかし、中途入社者の場合、社会経験や業務への知見がある分、新卒入社者ほど細やかなケアや指導が受けられないケースが多いです。中途入社者は、前職でのスキルをフルに発揮したいと仕事に励むため、無理をしてしまい、思わぬ壁にぶつかってしまうケースもあるようです。

2.中途入社者が馴染むためにしていること

     上記のような、新しい環境に対する悩みや不安に対して、入社した会社でどういった行動をするとよいのかをご紹介していきます。

自分の経験を活かせることから進めていく
     中途入社者は、早く成果を出そうと考える方も多いと思います。しかし、「新しい環境にきたのだから、新しいことをやろう」「はやくスキルを身に付けなければ」と、最初からストレッチの利いたことばかりを行なうと、業務が上手くいかず、モチベーションが低下するどころか、「自分はこの仕事に向いていない」という思考に繋がってしまう恐れもあります。
     新しい環境とはいえ、前職での経験を活かせる場所は用意されているはずです。焦らず、自分のスキルを活かせることと新しく学ぶことのバランスをとりながら、無理のない範囲で進めていきましょう。

新しいやり方をインプットする
     環境が新しく変わると、仕事の進め方や考え方も前職とは異なります。前職と違ったルールをインプットするとなると、やりにくさを感じることや納得いかないこともあるかもしれません。しかし、いきなり「前職ではこうやって成功した」と話をし出すと、あまりよい印象は与えず、人間関係も悪くなってしまう可能性があります。
     前職で学んだことが全てではないということを認識し、まずはその会社でのやり方を謙虚に学ぶ姿勢が必要です。新しいやり方を否定せず、ゼロから成果を積み上げ、本当に変えた方がいいと思ったことを検証していきます。前職とはやり方がどう違って、どんなメリット・デメリットがあるのかを考え、そのギャップを埋めるかたちで業務を遂行しましょう。

働きやすい環境づくりをする
     新しい環境に参画したら、まずは仕事の進め方について相談する相手や、了承を得る必要のある相手を知ることが大切です。話を通しておく相手や、その順序を把握しておくことで、自身のタスクがスムーズに進められるようになります。
     働きやすい環境を構築するためには、自分から歩み寄り、自分を知ってもらうためのアクションも必要です。最初から色々な人に話しかけるのは難しいと思いますが、挨拶をして話しやすい雰囲気をつくったり、レスポンスを早くしたりすることで周囲からの信頼を積むことができると考えられます。
     そして、先輩との1on1や同僚と会話を行い、同じ部署だけでなく、他部署や仕事での関わりが少ない人を紹介してもらうことで、会社全体の文化を知ることができます。社内に気軽に話ができる相手がいれば、精神衛生を保つことができ、より快適に業務に取り組むことができるのではないでしょうか。

3.管理職としてぶつかることと、活躍のポイント

     管理職として入社した際、下記にぶつかる人が多いという調査結果が出ています。

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図2 管理職として転職した求職者が、入社後壁にぶつかるポイント
     既存社員の部下からすると、「外から入ってきたよく分からない人」から指示を受けることになります。全て前職でのやり方で実行していくのではなく、まずは新しい環境でのやり方を見極め、仕事の成果で信頼を得ることによって立ち位置を確立しましょう。
     イベントや研修への参加、上位層との1on1などで、社内でのつながりをつくることも一つの手段です。社内でのパイプをつくり、困ったときや社内で改善したいことがあったときに相談できる相手を見つけられれば、解決の手段を導くことができるかもしれません。
     また、管理職となると、自分自身のパフォーマンスのみならず、入った会社の看板を背負うということを意識しなければなりません。社内で実績を残すことで社内でのポジションが高くなり、社外の人とつながる機会も増えてきます。前職でのやり方を活かしつつも、新しい会社の看板を背負って、どう行動をすべきか考えることが大切です。

4.まとめ

     「会社に貢献したい」「スキルを向上させたい」という志を持って、入社を決意した人も多いと思います。しかし、成果を出すことにプレッシャーを感じてしまう人も、中にはいるのではないでしょうか。
     転職してすぐは、様々な理由から不安を感じやすい時期です。入社直後からスキルを発揮しようと無理をしてしまうと、思わぬ壁にぶつかってしまうこともあります。まずは焦らずに、能力を発揮できるところから行い、少しずつ業務の幅を広げていくとよいと考えます。


執筆者
小河原 尚代
株式会社Dirbato(ディルバート)
コンサルティンググループ パートナー

大学卒業後、大手SIerに入社。その後、日系総合コンサルティングファーム、外資系金融企業に参画。DX推進、プロジェクトマネジメントを得意テーマとし、DX推進の一環で、IT組織変更も多く支援実績を持つ。組織改革やシンプル化・自動化といった業務改革のマネジメント経験を豊富に有する。クロスボーダーな課題解決が求められるグローバルプロジェクトの責任者も歴任。2020年4月1日株式会社Dirbatoに参画。

参考文献

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