働くヒトが知るべき介護支援制度

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ダイバーシティの推進には、時間に制約のある人が働き続けられるという観点で、仕事と介護を両立できるよう整備することが重要です。経験を積んだ社員が介護を理由に望まぬ離職をしないよう、介護と仕事を両立できる環境づくりの重要性についてお伝えできればと思います。

目次

  1. 1.介護保険制度
  2. 2.要介護のいる世帯
  3. 3.実際に介護が発生した場合
  4. 4.まとめ

1.介護保険制度

1997年、介護保険法が交付され、2000年には高齢者の介護を社会全体で支え合う「介護保険制度」が創立されました。この制度によって、寝たきりや、食事など日常生活に支援が必要な状態になった際、原則1割の自己負担で介護サービスを受けられるようになりました。40歳になると介護保険への加入が義務付けられ、医療保険と一体的に徴収が開始されます。
高齢化の進展に伴い、要介護高齢者の増加や介護期間の長期化など、介護ニーズが増大したことにより、従来の老人医療制度では限界がきていたのです。

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図1:介護保険の保険者と財政

介護保険法は3年ごとに財政収支を見直し、時代の流れやニーズに合わせて制度改正を行なっています。2021年4月施行の介護保険法では、下記項目が改正されました。

①地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する市町村の包括的な支援体制の構築の支援
②地域の特性に応じた認知症施策や介護サービス提供体制の整備等の推進

具体的には、住み慣れた場所で支援を受けられるよう、地域のなかで行なえるサービスを一括で提供できる体制の構築支援や認知症の方の対応力向上に向けた整備などが施行されます。

2.要介護のいる世帯

これらの介護保険制度を受けるためには、「要介護(要支援)認定」という認定が必要になります。「要介護(要支援)認定」とは、介護の必要度(どれくらい介護のサービスを行う必要があるか)を段階で区分されるもので、段階に応じて介護費用の月々の支給限度額が変わってきます。
認定者数は2000年から増加傾向にあり、2019年時点で669万人と、約20年で2.6倍になっています。

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図2:認定者数の推移

要介護者が増加する一方で生産年齢人口は減少しており、一人の介護への負担が大きくなっているかもしれません。

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図3:生産年齢人口

また、要介護者のいる世帯の世帯構造を見ると、「核家族世帯」が40.3%と最も多く、「三世代世帯」が12.8%と最も少ない割合です。年次推移で見ると「核家族世帯」は上昇傾向にあり、「三世代世帯」は低下しています。

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図4:要介護者のいる世帯の世帯構造の構成割合の年次推移

これらのことから、要介護者は増え、要介護者を支える人口は減り、家庭内でも要介護者をサポートする人員が減少していることが見受けられます。
今後もこの推移で進めば、要介護者へのケアが充分にできなくなり、働きながらの介護を困難に感じる方が増加していくことが考えられます。

 

3.実際に介護が発生した場合

それでは、実際に介護が発生した場合の手順を見ていきます。申請には、介護保険被保険者証が必要です。なお、40~64歳までの人(第2号被保険者)が申請を行なう場合は、医療保険証が必要です。

①要介護認定の申請
お住まいの市区町村の窓口で要介護認定の申請を行ないます。

②認定調査・主治医意見書
市区町村等の調査員が自宅や施設等を訪問して、心身の状態を確認するための認定調査を行います。主治医意見書は市区町村が主治医に依頼をしますが、主治医がいない場合は、市区町村の指定医の診察が必要です。

③審査判定
コンピュータによる一次判定と、それを原案として介護認定審査会による二次判定の二段階で行います。二次判定で要介護度の判定が行われます。

④認定
市区町村は、介護認定審査会の判定結果にもとづき要介護認定を行ない、申請者に結果を通知します。要支援1・2から要介護1~5までの7段階および非該当に分かれています。

⑤介護(介護予防)サービス計画書の作成
段階に応じて、地域包括支援センターや介護支援専門員のいる、県知事の指定を受けた居宅介護支援事業者へ計画書の作成を依頼します。依頼を受けた介護支援専門員は、どのサービスをどう利用するか、本人や家族の希望、心身の状態を充分考慮して、介護サービス計画書を作成します。

⑥介護サービス利用の開始
介護サービス計画にもとづいた様々なサービスが受けられます。
(2022年4月時点)

4.まとめ

介護をする本人や該当する社員がいる企業はもちろん、介護を行なう社員と働く方も、介護について調べる機会を作ってみると良いのではないでしょうか。現時点では介護に関係の無い方でも、今後介護を行なう可能性は出てきます。突然介護が発生したときに戸惑うことのないよう、介護について知識を習得しておくと良いかと思います。

執筆者
小河原 尚代
株式会社Dirbato(ディルバート)
コンサルティンググループ パートナー

大学卒業後、大手SIerに入社。その後、日系総合コンサルティングファーム、外資系金融企業に参画。DX推進、プロジェクトマネジメントを得意テーマとし、DX推進の一環で、IT組織変更も多く支援実績を持つ。組織改革やシンプル化・自動化といった業務改革のマネジメント経験を豊富に有する。クロスボーダーな課題解決が求められるグローバルプロジェクトの責任者も歴任。2020年4月1日株式会社Dirbatoに参画。

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