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【座談会】エキスパートvsZ世代 ~世代間コミュニケーションを通じた価値観の共有と相互理解~

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DirbatoではDEI(Diversity, Equity & Inclusion)の取組の一環として、キャリアについて知りたい、聞きたい、考えたいに応えるために定期的に「キャリア座談会」を実施しています。 今回はエキスパートであるマネージャー職とZ世代である新卒社員を集め、それぞれの世代の仕事に対する考え方について、リアルな意見を語ってもらいました。

「ITコンサルタントに就職し、想像と違ったことはありますか?」

Z世代D:コンサルタントとして様々な企業を見たい、新しいことを毎日インプットしたいと楽しみにしていましたが、いざ働いてみると、専門的な知識がないと議事録すら完璧に書くことができないことに気づきました。
思い描いていた多種多様な交流よりも、地道な勉強が必要であることがギャップです。

Z世代E:プロジェクトに入って驚いたのが、上司がある程度何でも自由にやらせてくれることです。柔軟に働ける会社であることを肌で感じました。ただ、実際クライアントに自分の意見を言う段階になると、思った以上に意見が通らない。もちろん自分のIT知識が浅いのでスキル面では及びませんが、プロジェクトを推進するための考え方や大方針に関しては、通ると思っていた意見が通らず、力の差を見せつけられました。

ITコンサルタントとして働くことの難しさや大変さを味わい、壁にぶつかっている様子が伺えます。顧客に意見が通らなかったEさんには、エキスパートからこんなコメントがありました。

マネージャーC:自由には責任が伴うので、高い水準まで思考を重ねるのは大前提として必要ですね。
マネージャーA:顧客に意見が通るかどうかというのは、その会社のカラーや方針に合っているかが大事なポイントになることもあります。クライアントの企業方針と、ITの側面から見た「あるべき姿」が交差する点を導き出すのがITコンサルタントの仕事ではないかと思います。
マネージャーB:それが分かってくると意見の通し方も工夫が出てきますよね。ITコンサルタントとしてDirbatoで働くということは、クライアントからどれだけ評価されるかが軸になります。クライアントがコンサルフィーとバリューの妥当性を見極めるシビアな世界であり、成果だけを見られるとも言い換えられますね。

Z世代の悩みを発端に、専門知識を持つだけでは務まらないITコンサルタントの果たす役割についても共有頂きました。

「ITへの専門的な知識を深めていく中でZ世代が悩んでいることは何ですか?」

Z世代D:分からないことだらけですが、社会に出たら「分からないです」と言っても誰も教えてくれません。分からないなりにいくつか当たりをつけ、それぞれ一歩先の仮説を考えてから質問をしなければ知識を獲得できず、それが最近の苦しみでもあります。

知識の獲得方法に苦労しているDさんに対してエキスパートからは様々な意見が寄せられました。

マネージャーA:お客さんに対して特に情報を引き出す場合には、仮説を立てて聞かないと欲しい答えが返ってこないですからね。
マネージャーC:「分かりません」と単純に聞いて返ってきた答えというのは理解するのが難しいです。そこを理解するための土台を調べてから聞かないと答えまで理解できないのです。このプロセスを学んでいるのは非常に重要なことですね。
マネージャーB:ITの知識は社外にも情報が溢れているので、自分で無限にレベル上げをすることができます。それが積み上がってくると、自分の専門知識を活用するのは勿論、顧客企業のやり方や好みに合わせて毎回違ったソリューションを提供するようなコンサルティング業務ができるようになってきます。まずは、ITの専門性の積み上げが大事ですね。

知識を深める際のアプローチ方法と専門知識を深める重要性を共有頂きました。

(Eさんへの質問)若者が関わりたいと思うエキスパートはどんな人ですか?

Z世代E:きちんと答えをくれる人ですね。質問した時に革新的な答えを出せる上司がいたら勿論素晴らしいですが、中には一緒に悩んでしまう先輩もおり、答えを貰えない事もあります。まずはこう動いてみよう、と若手に指針を示して欲しいです。
マネージャーB:決断力がある人って大事ですよね。上流工程になればなるほど答えが一つではない場合も出てきます。お客様もコンサルタントも正解が分からず悩む場面というのは実はよく発生するのですが、どこかで決断はしなくてはなりません。そんな時に優柔不断な上司だと大丈夫かな?と思ってしまいますよね。
Z世代D:私の上司は新卒に考える力を養ってほしいからという考えで、あえてすぐには答えを言いません。クライアントの前でははっきり指針を与えてくれる一方で、社内ではすぐに答えを言わないことで若手に勉強させてくれます。その場によって対応を変えてくれるのでとても勉強になります。

上司に決断力を求めるという意見の一方で、答えを出すタイミングについて自身の上司がしている工夫を共有してくれたDさん。理想のエキスパート像に関するZ世代の意見からエキスパート達に気づきを与えることになりました。

マネージャーA・B:若手への接し方を変えないと、と気付かされますね。
マネージャーB:だからこそ、チームを作るときはまずメンバーのことを観察するのが大事ですよね。みんな考え方は違いますから。自分のことも知って貰わなければいけないし、相手のことも知った方がいいですよね。

(Dさんへの質問)若者が関わりたいと思うエキスパートはどんな人ですか?

Z世代D:期限やゴールを定めて頂いた上で、それに対してのアプローチ方法はこちらに考えさせて下さる方が良いです。自由度を持たせてもらったほうが考える力やプロジェクトの推進力が伸ばせると思っています。
また、タスクの難易度については自分ができるだろうな、と思うレベルより少し高いものを任せてくれると嬉しいです。
上司にとってはリスクもあるかと思いますが、後輩に勉強の場を作ってくれる方がいるとありがたいです。
新卒の今は分からないことが多すぎて、いくら質問をしても足りないくらいですが、質問を持っていった時に自分が納得するまで向き合ってくれる上司は頼りになります。
一番重要なポイントは、上司が楽しそうに仕事をしているかどうかかもしれません。チームの空気も良くなるし、自分もこういう風になりたいなと上司の背中を見ながら仕事をすることができると思います。

Z世代Dさんの最後のコメントから、エキスパート達は改めてチームマネジメントについて考えさせられる結果になりました。

マネージャーB:チーム全体が暗い雰囲気だと働きづらいですよね。
マネージャーC:マネージャーやエキスパートはチームの雰囲気作りに気を配ることも大事ですね。

学生の時想像していた社会人とのギャップはありますか?

Z世代D:上司やクライアントは若手に対して積極的に行動して欲しいと思って下さっているかもしれませんが、専門知識が浅い中でどこまで積極的に行動していいのかが悩みどころです。1年目であるからこそ謙虚でいるべき面もあるはずで、出方や、出るタイミング、自分のキャラクターをどこまで出すべきかの線引きが難しいと思っています。

マネージャーB:若いうちはいろいろ実験が許されるので、反応を見ながら試してみていいのではないでしょうか。その方のレベルを大きく超えた仕事を任せることはないので、本人が思うほど大きなミスが起こることはないです。本人ができなかったと思うことでも、上司の想定内かもしれません。失敗を恐れすぎる必要はないと思います。
マネージャーA:常にバックアップを用意しながらやっていますしね。
マネージャーC:全力でやって失敗する分には糧になるので、是非チャレンジしてみてください。

学生の時想像していた社会人とのギャップはありますか?

座談会を通して、Z世代にとってはエキスパートに直接悩みを相談できる良い機会となり、エキスパートにとっては今後のチームマネジメントや部下の教育方法について再考する良い機会となったようです。
上司は若手の課題を理解し、アドバイスを提供することが必要です。また若手は会社に新しい視点をもたらす可能性があり、今回の双方向でのコミュニケーションが、両世代の成長や世代間ギャップを縮める手助けになったように感じます。世代によっても価値観はそれぞれです。顔を合わせること、口に出してみることでより相互理解が深まるのかもしれません。部下と上司が互いに理解を深められるよう、こうした意見の共有が大事だと考えます。

執筆者
A.Asaka
株式会社Dirbato(ディルバート)
コーポレートグループ Employee Success 労務

日系総合コンサルティングファームにて、経理部で契約管理に従事した後、2021年にDirbatoに入社。Incubationチームの秘書としてメンバーのサポートに従事した後、産休・育休を取得。 復職後は労務を担当し、入社や休職・退職の手続きなどに携わっている。 Dirbatoのメンバーを労務観点でサポートできるよう日々尽力中。

監修
小河原 尚代
株式会社Dirbato(ディルバート)
コンサルティンググループ パートナー

大学卒業後、大手SIerに入社。その後、日系総合コンサルティングファーム、外資系金融企業に参画。DX推進、プロジェクトマネジメントを得意テーマとし、DX推進の一環で、IT組織変更も多く支援実績を持つ。組織改革やシンプル化・自動化といった業務改革のマネジメント経験を豊富に有する。クロスボーダーな課題解決が求められるグローバルプロジェクトの責任者も歴任。2020年4月1日株式会社Dirbatoに参画。

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