Dirbatoでは、SDGsに資する活動として、企業の持つ専門性を無償で提供するプロボノ活動を行っています。 今回は、Dirbatoが支援するNPO法人ITサポート銀のかささぎ(以下銀のかささぎ)と対談を行いましたので、その様子を2回に分けて紹介させていただきます。
1.プロボノ活動の概要
Dirbatoのプロボノ活動とは
プロボノとは、ラテン語で「公共善のために」を意味する「Pro Bono Publico」の略で、社会人が自らの専門知識や技能を生かして参加する社会貢献活動のことを指します。
コンサルティング事業を展開するDirbatoでは、社員の持つコンサルティングの専門性を活用し、社会課題の解決に取り組む非営利団体に対し、支援を行っています。
支援先への価値提供はもちろんのこと、参加する社員のスキルや知見の向上、そして、通常のプロジェクトとは異なる経験からの学びを得ています。
―本日はお集まりいただきありがとうございます。最初に、Dirbatoがプロボノ活動を始めたきっかけを教えてください。
常田:
コロナ禍に対面で会うことが少なくなり、そんな状況でも社員同士で何か1つのテーマを持って活動を行えないかと、Dirbato内で話が上がったことが始まりでした。そこで、社会貢献性の高いプロボノ活動に着目することになり、私は初期のメンバーとして活動に参画させていただくことになりました。
Dirbatoはテクノロジーを強みにコンサルティングを行っていますので、ITサポートを行う銀のかささぎさんに声をかけたところご快諾いただき、最初は5名のチームでプロボノ活動がスタートしました。
山越:
ご連絡いただいた頃、私たちの中で理念はあるのに、それを具現化するための資金調達や認知度向上をするためには、何から着手したらよいのか整理できていない状況でした。
Dirbatoさんの専門性を活かしたご支援は私たちが一番求めていたもので、お会いできて本当に良かったと思っています。
2.ITサポート銀のかささぎとは
―NPO法人を設立したきっかけや経緯を教えてください。
山越:
児童養護施設で、子どもが満足するような学習ができていないという、教育機会の実態を知ったことがきっかけです。
私はもともと、千曲市教育委員会でITコーディネーターの仕事をしていました。
学校の先生と、パソコン教室で子どもたちに算数や国語を教えたり 、学校教育のICT化のマネジメントをしたり、その他にも、市民向けのPC教室の講師もしていました。
ある時知人から、「児童相談所の一時保護所 にいる子が教育に向けられていない」という話を伺いました。
一時保護所とは、両親のいない子どもや虐待、育児放棄などに遭った子どもを保護する場所です。
こういった施設にいる子どもたちは、これまで十分な学習機会が与えられていなかったため、基礎学力や理解度にばらつきがあり、
子ども一人ひとりに合わせた学習方法が必要になってきます。そこに、何か支援できることはないかと考え、銀のかささぎの活動を開始しました。
宮内:
私はPC教室で講師をしているときに山越さんに出会い、活動が始まったときに声をかけていただき手伝いをするようになりました。
PC教室のときの仲間には今でも協力してもらっていて、活動に繋がっています。活動を通してよい経験ができて、携わることができて本当によかったと思います。
―なぜICT教育に着目したのでしょうか。
山越:
一時保護所で子どもがタブレットで熱心に勉強をしている様子を見たからです。
一時保護所で学習支援をする東大生のボランティアの様子を伺うと、紙で勉強しない子どもたちが、タブレットだと楽しんで勉強をしていて、
ボランティアの日を心待ちにしている様子が伺えたため、ICT教育を検討し始めました。
タブレットですとすぐに〇が表示されるのでどんどん進めたくなりますし、個々の習熟度に会った学習ができます。
学習開始のハードルを下げ、継続しやすいことで、学習に対する苦手意識の払拭に繋がっているのだと思います。
宮内:
タブレットで勉強を始めてから、これまで15分も勉強が続かず全く勉強習慣のなかった子が45分も続けられていて、勉強に対する意欲が出ているのが分かりました。
できなかったことができるようになり、今は自らペンを持って学ぼうとしてくれることはすごく嬉しいです。苦手意識を持っていたことが、楽しみなことに変わりやすいのが、ICT教育のよい点だと思います。
―およそ10年間活動をする上で、ICT教育に関して感じることはありましたか。
常田:
10 年前は、iPadを用いたICT教育はまだ新しいもので、導入しているほうが珍しい感覚がありました。
しかし、プログラミング教育が小学校で必修化するなど、今や当たり前の存在になっているため、より教育機会の違いによる格差は広がっていそうですよね。
山越:
はい。現在のほうが世の中でも家庭でも格差が大きいと思います。
ネット環境の有無や家庭環境などによってIT知識のベースがバラバラなため、教育の難易度が上がっていると感じます。
宮内:
親がプログラミングをできるご家庭は子どももできることが多いです。
ICT学習を進めることと並行して、プログラミングに慣れている家庭は会得が早いのですが、そうでない方は機会損失がうまれてしまいます。
しかし、親がどうやって教えていいか分からないという状況もあると思うので、そういったところにもアプローチしていくべきだと考えています。
3.今後に向けて
―NPO法人として叶えたいことはどういったことでしょうか。
宮内:
目指す姿は、みんながデジタルに慣れたよい世界を作るということです。
ICT教育を否定する人もいましたが、世界の考え方が変わり、コロナ禍も後押ししました。
ICT教育が当たり前な世の中になってきたため、子どもがデジタルを理解できるように今後も支援を行っていきたいです。
山越:
現状はゆとりのある家庭とそうじゃない家庭が二極化しています。
夏には、誰でも気軽にプログラミングや算数教室に来られるように、夏期講習を無料で実施するなど、教育格差是正に向けた取り組みを行いました。
須田:
こうした取り組みを通して教育格差を無くし、どんな子どもでも充実した教育を受けられる世の中にしたいですよね。
お話を聞いていて、充分な教育が受けられないだけで学習意欲のある子は本当にたくさんいるのだと思いました。
山越:
おっしゃる通りです。子どもの自己肯定感を上げ、優秀な芽を摘まないようにしたいです。
そして、私たちの手の範囲だけではなく、子どもたちの居場所ができたり、やり方を広められたり、学習支援以外にも活動を広げたいです。
―本日はありがとうございました!
Dirbatoは社会貢献の実現に向け、こうした高い志を持つ団体を支援する活動を続けていきたいと考えています。