2024.12.09
お知らせ

みずほ信託銀行 IT・システム企画部部長 大津氏との対談を実施しました

今回、みずほ信託銀行株式会社(以下、みずほ信託銀行) IT・システム企画部部長 大津州平氏を本社にお迎えし、弊社コンサルタントに向けて「みずほ信託銀行のありたき姿」をテーマに講演をしていただきました。

     

また、2022年からアカウントリードとしてみずほ信託銀行様を含むフィナンシャルグループ全体を継続的にご支援させていただいている、弊社コンサルティンググループ パートナー平川との対談にて、以下の議題についてお話しいただきました。

・みずほ信託銀行のありたき姿
・ビジネスとITの融合
・弊社に対する期待

みずほ信託銀行
IT・システム企画部
部長 大津州平氏

大学卒業後、現みずほリサーチ&テクノロジーズ入社、信託銀行の市場系、海外系、信託システムを中心に約15年エンジニアとして開発を担当。その後、みずほ信託銀行、みずほ銀行 勘定系システム構築やみずほグループ会社の開発マネジメント経験等を経て、2024年4月より現職

株式会社Dirbato
コンサルティンググループ
パートナー 平川鉄也

米国の大学卒業後、大手SIerに入社。一連のシステム開発工程の経験を積んだのちに外資系総合コンサルティングファームに転職し、コンサルタントとしてのキャリアを形成。Dirbatoに入社後も一貫して金融業界のクライアント向けに各種ご支援を通じて価値提供を続けており、現在はみずほFG様のアカウントリードを務める。

※対談者の肩書、所属法人などは掲載当時のものです。本文中敬称略。

「みずほ信託銀行のありたき姿」

~シナジーを最大化し、新しいことにチャレンジしていく今後~

平川:今回「みずほ信託銀行のありたき姿」というテーマで講演いただきありがとうございました。特に「次の100年に向けて信頼される存在に」という文脈から、御社の今後を示す戦略が印象的でした。改めて、みずほ信託銀行では今後に向けてどのような戦略を立てられているか、教えていただけますでしょうか。

    

大津:お客様からみずほ信託銀行にお預かりしている信託財産は100兆円超。10年後100年後も社会やお客様にみずほ信託銀行を選んでいただけるようありたいと考えています。 そのためにグループの中でしっかりとシナジーを生み、お客様のために〈みずほ〉の力を最大限発揮していきたいと考えています。

次の100年に向けては、〈みずほ〉のパーパスとして設定している「ありたき姿」から逆算し、今やるべきことをしっかりやっていく、これに尽きると思っています。これからの10年は金利がつく世界がやってきますので、その世界観の中でデフレ時代のビジネスだけをそのまま続けていくというのはなかなかうまくいきません。
そのため、みずほ信託銀行では、お客様と伴走しながら承継ビジネス、企業成長支援、ウェルスマネジメントやアセットマネジメント領域を中心としてチャレンジしていきたいと思っています。これら領域や既存ビジネスの中では、デジタルやITを使いこなしていく必要があり、「ただ生成AIを使う」などではなく徹底的にテクノロジーを使いこなしてビジネスの中に組み入れていくことが大切だと思います。

   

平川:御グループのご支援を通じて強く感じたのは、横の連携を常に意識して各種施策の展開・足元の業務推進をされている点でした。最たる例として、直近で御グループがプレスリリースとして出された統合について触れさせていただきます。銀行の機能を有するみずほ銀行様とITの機能を有するみずほリサーチ&テクノロジーズ様の統合は、まさに今後キーとなってくる銀行業務とITの融合を加速化させる動きと捉えています。一方で、みずほ信託銀行様は統合の対象外と思います。実際に信託銀行の大津さんから見て、こちらはどう捉えていらっしゃいますか。

    

大津:みずほ銀行とみずほリサーチ&テクノロジーズの統合は、〈みずほ〉の企業価値を最大限にするための手段の一つです。日本の人口は減少トレンドであり、人口動態を踏まえればIT人材についても同じことが想像できます。将来からバックキャストして、今取るべき判断をしたものです。これはデフレ時代にあった縮小均衡やリストラではなく、将来に向かって進んでいくために必要な行動です。この行動が役に立つ判断だったと将来なるように我々は挑戦し続けていきたいと思っています。
信託は統合しないのかというお話がありましたが、信託も業務改革やシナジーの行動をグループ連携して取っていきたいと。重複業務があれば、みずほ銀行とリサーチ&テクノロジーズとともに解消する動きをしたいし、何よりIT改革を成し遂げるためにはそれだけでは物足りません。多くの役職員がアジリティ高いビジネスの実現に向かうことで、社会やお客様に利益実感が得られるよう企業価値をあげていきたいと考えています。

平川:非常に興味深いお話をありがとうございました。御グループをご支援させていただくにあたり、皆さんの加速度的な変化というところを感じていきたいと思っています。

「ビジネスとITの融合」

~ITがもたらす可能性と脅威~

平川:先程、今後は信託ビジネスにITを組み入れていくという話がありました。この視点はやはりリサーチ&テクノロジーズ様で経験を積まれた大津さんだからこそお持ちの考えかと思います。今後のビジネスとITの融合については、どのように考えていらっしゃいますか。
また、実際に信託銀行の業務もしくはビジネスそのものにITを組み込んでいくにあたり、着目されているテクノロジーがあればぜひ教えていただきたいです。

    

大津:日本の信託財産は今年度で1700兆円を突破し、これからも加速的に伸びていく未来を想像しています。その中で日本の重要インフラとして信託機能が引き続き社会経済に貢献していくためにもITの力は必須だと思っています。
特に資産運用立国の実現という観点で、「信託」というキーワードで思い浮かぶのは年金、証券代行、承継ビジネスなどがありますが、例えば年金の領域では、従来型の企業年金や厚生年金に加えて、NISAにおいてもしっかりと財産を管理していく必要があります。信託銀行には財産を保全する使命があり、そこにもテクノロジーの力が必須になってきます。土台をしっかりと整えて、安心して社会やお客様に〈みずほ〉を選んで預けていただけるよう取り組んでまいります。
 ビジネスとITを掛け合わせた事例を2つ紹介します。1つめは、ESOP(Employee Stock Ownership Plan)や BBT(Board Benefit Trust)といった信託機能です。これは、役員や従業員の皆さまに株式を給付し、将来年金もしくは退職時に受け取るスキームです。長期間の管理や企業成長支援と関連し、複雑なビジネス関連の中でITの役割はとても重要になってきます。
2つめは生成AIです。生成AIが登場し短い期間に多くの企業が社内外の業務に適用していますよね。〈みずほ〉の定期預金システム開発の領域では、勘定系システムのMINORIリニューアル開発において設計書に生成AIを活用したり、みずほ信託銀行の領域では、証券代行のお客様向けサービスで生成AIを活用しています。生成AIは世界中で進化しており着目していますが、今後パラダイムシフトが起きて人間の能力を超えるシンギュラリティについての話題も耳にします。生成AIは多くの可能性や脅威を秘めているので、理解を深めて使いこなす必要があると思います。今後は業界地図が大きく変わりうる変化の時代です。過去にも変化の時代は「信じて託される存在」として信託パッケージが活用されてきましたので、これからの時代においても信託×テクノロジーで社会貢献をしていきたいですね。 。

平川:おっしゃる通り、弊社では今後シンギュラリティ時代がやってくると捉えています。実は我々も皆さんにご提供させていただいているコンサルティングサービスに、生成AIをしっかりと活用してご支援を高度化させていこうという取り組みを行っています。 例えば皆さんに向けたプレゼンテーションのためのドキュメントにおいてバディとなるようなツールの開発、そのほか利活用余地があるコンサルティング業務の特定から活用していくためにどうしていくか、というところの検討し開発を進めているところです。これに対して5年、10年でしっかり投資し、内部の改善に努めていこうと考えています。我々としてもITコンサルを標榜している立場ですので、そこはしっかりと当事者意識を持っていこうとしているところでございます。
我々もご支援させていただく身でありながら、御グループの取り込む実例を拝見しながら学ばせていただくこともあります。

大津:パラダイムシフトやシンギュラリティが起きる未来は近いかもしれませんね。今やガラケーはスマホに切り替わり、今度は生成AIが汎用的なAIに変わっていくのでしょうか。新しい時代に突入していきますから、その中で日本はどうあるべきなのか、どうすれば世界に伍していけるのか、世界がまた日本を向いてくれるのか、どのような産業を創っていくのか、業界の垣根を越えて皆で議論していくことも大切だと考えています。

平川:今の大津さんのお話を受け、改めて生成AI然り他のカッティングエッジなテクノロジーが台頭してくると便利さの一方で危機感も覚えるのではと思っています。それに対して御グループでは積極的に対策をされており、むしろ使いこなす側として日々のビジネスへの取り込みを自発的に考えられていることが伝わりました。コンサルティング業界は元々クリエイティブな業界であるとされていましたが、今やそれすら生成AIに取って代わるような将来も近々来るだろうと言われています。やはり我々も変わっていかないと淘汰されていく存在であるということを、今の話を伺って改めて感じました。変わるために弊社としても取り組んでいこうと思います。

「Dirbatoに対する期待」

~成長に伴うアクセルとブレーキのバランス~

大津:成長に対して私が大切だと感じているのはアクセルとブレーキのバランスです。わたくしども金融機関は社会からディフェンシブに見られているかもしれません、実はアクセルとブレーキのバランスをコントロールして事業戦略を立てています。金融規制の中で当然守らなければいけないものは守っていきますし、チャレンジできることに対してはしっかりアクセルを踏んで成長していきたいと。設立6年で非常に成長されているDirbatoの皆さまの成長を見習っていきたいと思います。

平川:こちらこそ今後ともどうぞよろしくお願いいたします。最後に、我々Dirbatoに対して期待することを教えていただいてもよいでしょうか。

   

大津:皆さまには多様な領域でご支援をいただいております。ありがとうございます。引き続きビジネス課題の解決に向けたご支援を期待しております。社会やお客様に付加価値を提供し続けていくために、〈みずほ〉はIT改革にしっかりと取り組んでいきますので、ぜひ変革のパートナーとして伴走いただきながら共に課題解決にご協力いただければと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

    

平川:ぜひその期待値を超えるご支援ができるよう尽力してまいります。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

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